NMNはさまざまな体の機能への働きかけが期待されている成分です。
マウスの実験で糖尿病に対する治療効果を上げたと、米ワシントン大の今井眞一郎教授が報告をして注目されました。
その他にもさまざまな働きが期待されています。
では、NMNにはどのような効果が期待されているのでしょうか。
NMNとは
NMNが日本で知られ始めるようになるのは、2015年に放送されたNHKスペシャル「ネクストワールド 私たちの未来」がきっかけです。
番組ではワシントン大学とハーバード大学の研究者が研究に取り組んでいるNMNを紹介しました。
さまざまな体の機能の衰えに関与しているのではないかと考えられている物質がNADです。
あらゆる生物の体内にはサーチュインというタンパク質が存在しています。
サーチュインは老化や寿命のコントロールにかかわる酵素です。
サーチュインを活性化するものがNADです。
NADはあらゆる生物の組織や臓器の細胞内に存在をしていて、もちろん人間の体内にも存在しています。
しかし、加齢に伴いNADが減少をします。
NADの合成能力が落ちることで体の機能が衰えてくると考えられています。
体の機能が衰えれば、それに関連して疾患が引き起こされてしまうとも考えられます。
サーチュインを活性化させる働きを持つNADは体内で合成できるものの、摂取をしても細胞内に取り込むことができません。
そこで研究者が注目した成分がNMNです。
NMNはNADの中間産物で、NMNを摂取すると体内でNADに変換されます。
NMNをマウスに投与すると血中のNMN濃度が上昇し、NADに変換されることが確認されています。
そして、NMNを投与したマウスの試験から、NMNの効果についてわかってきました。
NMNの有効性と期待される疾患
老化や寿命をコントロールしているサーチュインは、さまざまな疾患との関与が指摘されています。
認知機能低下、鼻炎、不妊、難聴、糖尿病、心血管疾患、腎疾患、視力低下、脂肪肝などがそうです。
サーチュインの活性にかかわるNADの中間産物であるNMNは、これらの疾患に対しての有効性が期待されています。
米ワシントン大の今井眞一郎教授のマウスを使った実験では、抗加齢作用が確認されています。
今井教授は、健康なマウスに100mg/kg/日と300mg/kg/日を1年間飲ませ続けました。
マウスは加齢に伴い体重が増加をします。
特にオスでは脂肪が増えます。
ところが、NMNを飲ませたマウスは老化に伴い体重増加がみられなかったのです。
普通の水を飲んでいたマウスと比較して、100mg/kg/日で4%、300mg/kg/日で9%の体重減少という結果が出ています。
さらに、酸素消費量が増えていることも確認されています。
マウスは加齢によって代謝が落ちます。
しかし、1年間NMNを飲み続けていた17か月齢のマウスは、普通の水を飲んでいた11か月齢のマウスとほぼ同等の酸素消費量だったのです。
その他にも骨密度の上昇もわかっています。
年齢を重ねると骨密度が減少をしていき、骨粗しょう症のリスクが高まります。
特に閉経後の女性は骨粗しょう症の原因になる破骨細胞の働きを抑える作用を持つ女性ホルモンの分泌量が減少をするので、骨粗しょう症に注意が必要です。
年齢を重ねて眼が乾きやすくなったと感じる人もいることでしょう。
年齢を重ねると涙の量が減少をして、眼が乾きやすくなるのです。
マウスでも年齢を重ねると涙の量が減少をしますが、NMNを与えたマウスは与えていないマウスに比べて涙の量が増えたと報告されています。
これらはマウスを使った実験によるもので人間での効果ははっきりしていません。
これからの研究が期待されます。
NMNを含む食品
さまざまな効果が期待できるNMN。
摂取したいと考える人もいることでしょう。
NMNはあらゆる生物の細胞内に存在していて、野菜、果物、肉、魚などにも含まれています。
普段口にする食べものでは、野菜や果物は肉に比べてNMN含有量が高いです。
これまで調べられているものでは、枝豆やアボカドなどに多く含まれていることがわかっています。
日常的に手軽に摂取できるようにサプリメントも登場しています。