多発性硬化症は、厚生労働省が指定する難病の一つです。
日本では12000人ほどの患者がいると推計されています。
発症年齢は30歳前後で、男性よりも女性の方が多いです。
難病なので、よいといわれるものがあれば、すぐにでも試してみたい方もいることでしょう。
現在世界から注目されている成分がCBDです。
CBDには、さまざまな働きが期待されているのですが、多発性硬化症とは何か関係があるのでしょうか。
多発性硬化症とは
多発性硬化症は中枢神経系の病気で、視力障害、運動障害、感覚障害などの神経症状の再発と寛解を繰り返します。
中枢神経は、神経細胞体と軸索で構成されています。
神経細胞体のシナプスという部位で信号を受け取り、軸索を電気信号が流れ、次の神経細胞体へと信号と伝えていきます。
軸索はミエリン(髄鞘)というもので覆われています。
多発性硬化症はミエリンが壊れてしまい、信号が伝わりにくくなってしまうことで、症状が現れます。
病状によって「再発寛解型」「一次性進行型」「二次性進行型」に分類されています。
再発寛解型は症状の再発と消失を繰り返します。
一次性進行型は初めから症状が継続して進行するタイプ、二次性進行型は、初めは症状が現れたり消えたりしますが、次第に症状がゆっくりと進行をしていきます。
多発性硬化症は原因がはっきり解明されていないので、治療は再発の予防と症状の進行を抑制する薬物療法が中心になります。
日常生活で注意すること
2020年の時点では多発性硬化症を治す方法は明らかになっていません。
日常生活に気をつけて、上手に付き合っていくことがQOLを維持していくためには大切だといえるでしょう。
体温の上昇に気を付ける
体温が上昇すると一時的に症状がひどくなることがあります。
体温が下がればおさまります。
長時間日光にさらされる、入浴をする、運動をするなどで体温が上がりすぎないように注意が必要です。
軽い運動をする
軽い運動は、筋肉の維持と気分転換に役立ちます。
激しい運動は体温を上昇させたり、体の負担となるので、自分の体力にあった運動内容や運動時間で行いましょう。
感染症の予防
ウイルスなどに感染をすると免疫系が働き出して、再発する恐れがあります。
感染症予防の基本は、手洗いとうがいです。
十分な睡眠時間をとる
疲労やストレスは再発のきっかけになることがあります。
睡眠には体を休め、ストレスを軽減する働きがあるので、十分な睡眠時間を確保しましょう。
人によって必要な睡眠時間は異なるので、日中眠くならない程度の睡眠時間を確保するとよいでしょう。
CBDに期待できる働き
CBDとはカンナビジオールのことで、大麻草に含まれている成分です。
大麻草というとマリファナを連想する方もいることでしょう。
マリファナにはTHCという成分が多く含まれています。
THCは幻覚や幻聴を引き起こすことがある成分で、日本の法律で規制されています。
CBDは産業用ヘンプというTHC含有量が少ないものから抽出されています。
日本の法律では規制されていない成分です。
CBDは医療や科学の分野で注目されており、これまで数々の研究がされてきました。
アメリカでは、エピディオレックスというCBDを含む医薬品が、ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群の治療薬として承認されています。
カナダでは、多発性硬化症に伴う疼痛の緩和のための医薬品として、ナビキシモルスが承認されています。
日本では2019年に臨床試験のためとしてエピディオレックスの使用が認められ、聖マリアンナ医科大学で治験の申請準備がされました。
しかし、2020年の時点ではCBDは医薬品として日本では認められていません。
カナダでは多発性硬化症に伴う疼痛の緩和にCBDを含む医薬品が使用されており、日本の多発性硬化症の患者さんもCBDを含む医薬品を使ってみたいということもあるでしょうが、まだそれは実現していません。
CBDは現在日本で、オイルやカプセルなどの形でサプリメントとして販売されています。
しかし、医療用とサプリメントでは配合濃度が異なるので、サプリメントを摂取して医薬品のような効果が期待できるとは限りません。
CBDを試してみたい場合は医師に相談をしてください。