医療分野では「エビデンス」という言葉がよく使われるようになりました。
エビデンスとは「科学的根拠」のことです。
多くの患者さんに効果のある治療法を選択してもらうための指標として用いられています。
医療分野でも注目されている成分がCBDです。
では、CBDにエビデンスはあるのでしょうか。
CBDについて
CBDとはCannabidioの略です。
大麻草に含まれる80~114種類ほどのカンナビノイドの一種です。
大麻草に含まれるカンナビノイドの一種にTHCという成分があります。
THCはマリファナの主成分であり、摂取をすると向精神作用を示し、幻覚や幻聴が現れることもあります。
CBDはTHCとは違った成分で向精神作用はありません。
日本の法律ではTHCを禁止していますが、CBDの規制は行われておらず、日本国内ではCBDを配合したオイル、リキッド、チョコレート、グミなどが販売されています。
日本で販売されているのは、日本国内の法律で規制されていない大麻草の成熟した種子や茎から抽出した成分を使用しています。
また、海外ではCBDを使用した医薬品が承認されています。
CBDにエビデンスはある?
いくつかの疾患に関してはCBDの有効性を示唆する研究報告がされていますが、これらは小規模な研究がほとんどです。
科学的根拠を得るためには、大々的な研究が必要です。
数十人を対象とした研究を1,2例程度行っただけでは科学的根拠があるとはいいにくいのです。
これまでに報告されているCBDの研究は、皮膚がん2件、線維筋痛3件、つわり1件、かゆみ3件、偏頭痛3件などです。
質の高い研究結果を得るためには、もっと多くの研究数が必要です。
また、偏りのあるエビデンスも存在します。
実験や調査は世間のすべての人を対象としているのではなく、その中から特定の人を選んで行われています。
実験結果が望むものになるように、意図的に対象者を選別している可能性は否定できません。
このような研究では研究結果に偏りがでてしまいます。
実験結果に偏りが出ないように工夫することが望まれるのはもちろんですが、エビデンスを利用する際には偏りを排除できているか考慮することも大切です。
糖尿病のリスクを下げる?
イスラエルの研究者らによって2006年に発表された研究では、非肥満糖尿病マウスにCBDを投与したところ、糖尿病の発症リスクが下がったと報告されています。
糖尿病は合併症が怖いといわれています。
高血糖状態になることで血管や組織に負担をかけてしまい、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの合併症を発症することがあります。
齧歯類を用いた試験では、CBDが慢性炎症性や神経障害性疼痛を抑制する働きが示唆されています。
このことから、糖尿病による神経障害にも働きがあるのではないかと期待されています。
しかし、これらの試験では、マウスにCBDを投与しており、まだヒトでははっきりとした研究結果がでていません。
マウスとヒトでは遺伝子的に違う部分があるので、マウスに当てはまるものがヒトにも当てはまるとは限りません。
ヒトでのエビデンスを得るためには、ヒトを使った試験が必要です。
これからの研究が期待されます。
副作用の心配はないの?
エビデンスがはっきりしているとしても、副作用が強く出てしまうようでは成分を使い続けることが難しくなってしまいます。
CBDは忍容性が高く、安全性のある成分だといわれており、1日1500mgていどまでなら摂取しても問題ないとされています。
しかし、体質には個人差があるので1日1500mg以下であっても副作用がでてしまう可能性があります。
倦怠感、下痢、食欲の変化などが現れることもあります。
また、CBDを配合している医薬品のエピディオレックスの添付文書では、眠気、不眠、睡眠の質の低下、食欲低下、下痢、倦怠感などの注意喚起がされています。
CBDの摂取方法
安全だといわれているCBDですが、副作用のリスクがゼロではありません。
副作用が出ないようにするために、初めて摂取をする際には少ない量から始めましょう。
CBDオイルのようなスポイト式のものだと量を調整しやすいです。
体の調子を見ながら量を調整してください。
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